前回は、「パートナー」の話でした。

https://www.mokutanya.com/ml54

今回は「SBSバス」ついて。

いつもと違い、今日はお気楽モードで(笑)。


だいぶ前のことですが、人工衛星の設計という仕事をしていました。

そのときに出会った、SBSバスという衛星は「すっごいなぁ」と心底驚かされました。

そのSBSバスのお話しを。
(アメリカ製です。当時アメリカは日本よりずっとすすんでいました)


人工衛星の運用では「姿勢制御」が重要で、これは衛星を正しい方向に向けることです。

これが傾いたりすると、正しく通信できません。

姿勢制御の方式にはスピンと三軸の2種類あります。

当時(1980年代)は、まだスピンの方が多かったように記憶しています。

スピンというのは、まさにその名の通り、コマのようにクルクルと回して姿勢を制御する方式です。


SBSバスも、そのスピン型の一種で、

https://ndana.com/images/sbsbus.gif

のようなカッコウをしています。

見てわかるように、ドラム缶というか茶筒というか細長い円柱型です。

これは、ロケット内にあるときは、胴体が縮まっていて、放たれてから伸びるようになっています。

図の下から1/3のあたりに切れ込みが見えると思いますが、この辺が伸びる部分です。

上のパラボラアンテナもロケット内では、閉じられています。

ロケットは、搭載できる容積が限定されます。

なので、SBSバスはロケットから放たれてから、伸びたりアンテナを開いたりします。

胴体には太陽電池パネルが貼られていますから、これが伸びると、よりパネルの面積が広くなります。

すると、より大きな電力が得られ、例えば通信のチャンネルを増やしたりできるわけです。


人口衛星は姿勢が傾くと、小さなジェットを噴射して、姿勢を元に戻します。

ただ、ジェット燃料も積載できる量には限りがあります。

なので、できるだけこの燃料を節約できれば、衛星の寿命も延びることになります。

現在より、衛星のコストが高かった(一桁上ぐらい?)ので、5年もつか6年もつかは大きな違いになります。

ですから、できるだけ姿勢が安定した衛星が望ましいわけです。


さて、スピン型はコマと同じように、回ることで姿勢制御すると言いました。

そして、まさにコマと同様、平たい方が安定しています。

コマで遊んだことがある方なら、わかると思いますが、図のSBSバスのように「縦長」だったら、こんなコマは
すぐに倒れてしまいます。

安定しません。

安定しなければ、寿命が短いわけです。

どうやって、こんな縦長で安定させるか。

そう、ここで「あっ」と驚く仕掛けがあるのです。


このSBSバス、縦長という不安定さを、その大きなパラボラアンテナという不安定さで「打ち消して」安定させているのです。

縦長であることでより大きな電力を得られ、大きなアンテナは通信能力を上げます。

でも、どちらもスピン型としては不安定な要素です。

しかし、一つの不安定を別の不安定で打ち消して、安定させていたのです。


このことは、いろんな意味で示唆的です。

ビジネスでは、何かうまく行ったらそれを盤石なもの、安定化させようとします。

しかし、それでも、多くの大企業が倒産しました。

三洋電機しかり、武富士しかり。


一方で老舗の和菓子屋さん。

味も見た目も同じようでも、いつも新しいことにチャレンジしている店が多いそうです。

そう、歴史という風雪に耐えるには、「リスク」という不安定さが必要ということではないでしょうか。

「リスク」という不安定さを求めないと、安定なんてない、ということなのかもしれません。

いえむしろ、そもそも「安定というのは不安定の中にある」のかもしれません。


SBSバスは、そんなことを教えてくれたような気がします。

今回は、ここまで。

それでは、また次回。

 

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■ 浄水シャワー

前回紹介した浄水シャワー、

https://www.ndana.com/url/file/jsh.html

使ってみた方はいるでしょうか。

私は短髪なので、違いはよくわかりませんでしたが、妻は「違いがわかるし、いい感じ」だと。

シャンプー選びで迷っている方は、まずは塩素を除去してくれるこういうシャワーを使ってはどうかな、と思います。

シンプルな作りですが、塩素は除去しているようです。

以前、購入した浄水器

https://www.ndana.com/url/file/js.html

に、塩素を調べる試験薬が入っていたので、これで確認しました。